バブ記念日

 赤ちゃんの決まり文句のような、2つの破裂音で構成されている入浴剤「バブ」。存在は知っていたが、普段湯船につかる習慣がないこともあって、使用したことがなかった。

 友人と気兼ねなく会って話せるようになったときに、この自粛期間中のネタを作っておきたいなと思い、初めてバブ、使ってみました。パッケージの後ろに「完全に溶け切ってから浸かってください」みたいなことが書いてあったが、CMでよく見る「1色に塗りつぶされた人間が、炭酸泡を吹くバブと一緒に湯船につかる」様子*1を再現したかったので、私がお湯に入るのと同時にバブも入れた。

 

 

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らしいです。 https://www.kao.co.jp/bub/faq/

 

 バブってなかなか溶けきらないんですね。結構息が長かった。手のひらにバブを乗せると、炭酸を発しながら溶けていくバブの振動が伝わってきて、バブの鼓動を手に感じているような気がして、とても愛おしい気持ちになった。手を放すとバブが浴槽に沈んでいく。

 普段しないストレッチをする。湯船につかっていると、スマホも本も持ち込めないこの時間をなにか有意義なものに変換しなければいけない!という思いが強くなって、体を動かしてみたりする。

 

 不意に膝の裏にこしょばさを感じてのぞき込んでみると、そこには少し小さくなったバブが。傍らに置いたバブは、鼓動によって浴槽の床をゆっくりと移動して、すこし曲げていた膝の裏にまでやってきたのだった。愛おしい。思わず微笑んだ。

 

 家でずっと1人で過ごしていると「偶然」とか「突然」に遭遇しなくなる。身の回りで起こることのほぼすべてが、自分の意思をもとにした行動の産物になる。外部とつながっているときは、「偶然」サークル辞めた同期の女の子と会うこともあるし「突然」友達がくしゃみをしたりする。でも1人でいるときはそういうことはなかなか起きない。霊と同居してるとしたら話は変わってくるが「突然」テレビが点くこともないし、「偶然」窓が開いていることもない。

*1:調べたがヒットしなかった。私の頭の中にだけあるCMの記憶か?